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2008年07月14日

またまたドラマに勝手に注釈

 暑いですね~。もう自宅のベランダにセミがウァンウァン泣き始めました。さて、定番?の会計士ドラマへのコメントです。

 前回までの放送を総括すると、公認会計士で構成する監査法人の若手会計士が厳格な姿勢で監査に臨み、会社の不正をただす反面、会社を倒産させる事態に陥ったり、経理担当者が自殺したりなどして自らの仕事・方向性に対して葛藤していく姿が描かれ、また、新たに厳格監査を旨とする新しい監査法人のメンバーとして奮闘していく姿が描かれていました。


 土曜日の放送では、ドーナツの直営店及びFC展開を手掛けるベンチャー企業(プレシャスドーナツ)が株式公開(IPO)を目指し、当該社長が主人公の若手会計士若杉さんと既知の仲ということもあり、株式公開の予備調査、その後の会計監査を依頼されたものの、会社の粉飾決算及びFCのフランチャイジーから加盟金を収受しておきながら、いまだ未出店&加盟金の返還も認めないという会社の実態を知り、社長にこのままでは上場できない旨進言するも、彼の所属する新監査法人(組織)のスタンスとしてはそれを容認して上場させるという内容が描かれていました。 
 と同時に、彼の一人娘が彼の勤務中に怪我をし(奥さんとは別居中)、彼では娘の面倒を見れないと感じたのか義理の母に娘を連れ出され、一人の父親として葛藤している一面も。


 土曜日の放送を受けていろいろ思うとことはあるのですが、まず、会社が株式公開するにあたり「予備調査」という言葉が出ましたが、これは株式公開する数年前に、会社が社会の公器たる上場会社になるために足りない部分(例:税務基準ではなく、一般に公正妥当と認められる会計基準に則り会計処理を実施しているか?特別利害関係者との取引などないか?)を調査し改善していくために実施するものです。
 ですので、現実的には、予備調査を社長から依頼されてから、プレシャスドーナツが株式公開するという記事が掲載されるまで数年(最低3年)は経過していることになります。ドラマではあっという間でしたね(笑)。え!もう株式公開なの?早っ!って。


 それから、プレシャスドーナツが加盟金での粉飾決算(フランチャイジーからの加盟金12億円を売上高に計上)とあって、どこがいけないのか?分かりづらかったかもしれないので注釈を付けると、契約形態にもよるのですが、フランチャイジー(FCに加盟する人)がFC展開する会社に加盟金を預けて将来FCを脱退する際には返還する旨の契約であれば、会計上は将来返還する義務のある「預り金」であって、売上高などの収益ではないんですね。つまり、貸借対照表上の負債の部に計上して、精算時に契約内容に応じて全額返還するのか、あるいは契約により一部収益にあげるのか・・ただ、ドラマを見ていると、フランチャイジーの老夫婦の言葉に加盟金は返還しない旨の契約があったとあるので、そうすると収益(売上高)として処理することも構わないのではないかと思う反面、出店見込みが乏しいのに多額の加盟金を募った会社のモラル違反は甚だしい=上場なんてとんでもない(よく監査報告書にサインしたなぁ)というのが正直な感想です。 

 
 最後に、蛇足ですが、土曜日の放送では株式公開を目指すにあたり粉飾決算を行ったベンチャー企業が焦点でしたが、勿論真っ当なビジネスを通じて会社の収益を上げ、株式公開を果たし、またそうしようとしている会社が大多数であって、そうでない会社がいたがためにベンチャー企業全体が疑われる(近時の新興市場の株価低迷)ことはあってはならないと思いますので、念のために。また、逆にそういう疑いを持たれるようなことはしないということも念頭に置いておかねばならないですね。
  


Posted by ayamizu at 12:56Comments(0)パース先生