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2008年06月30日

役員給与

 こんにちは。会計士・税理士の永野です。

 最近雨が続いていますね。早く晴れてスカッとした天気にならんかなと思っているのですが。では、今日は以前受けた税務上の相談で基本的なことですが、ベンチャー企業の方にもお役に立てそうな内容を。

 役員給与の話です。ベンチャーを立ち上げられた方は自分の給与としての取り分をどうするか考えられることも多いと思います。例えば、会社は6月の定時株主総会において想定より業績が良く、役員に支給する定期給与を増額する決議をし、期首の4月から遡って4月~6月分の増額分を7月に一括して支給することにしたとしましょう。本来、役員に対する給与も次の①~③の内容であれば法人税法上損金に算入することができます。つまり、①定期同額給与(支給時期が1か月以下の一定期間であり、かつその事業年度の支給額が同額である給与)、②事前確定届出給与、③非同族会社における利益連動給与のいずれかに該当する場合です。しかし、会社が①に合致するよう毎月同額の給与を役員に支給していたとして、4月~6月の増額分を一括支給してしまえば、①を満たさなくなるのでは?との問題が生じます。結論を申し上げると、遡って既に終了した役員の職務に対する給与増額分は税務上損金の額に算入されず、その分法人税が減少することはないということです。ですので、会社の損金扱いになると思って、増額支給したにもかかわらず、その分利益は減少し、けれど増額分に対応する税金の支払いは必要ということになりますので、法人における役員給与の扱いは十分に注意が必要です。
 しかし、ベンチャー企業って目いっぱい頑張ったら会社の利益も出て、それに比例して役員が多く報酬をもらって然るべきなのに、定期同額給与or事前確定届出給与であれば獲得するであろう利益に関係なく役員の給与は事前に固定・・・って何かベンチャー企業には馴染まないというか、一部のサラリーマン大企業以外ではその発想はありえないという違和感を感じずにはいられませんね。


【追伸】以前ご紹介したNHKドラマ監査法人第3回・・見たんだけど、わかりづらい箇所があったと伺ったので、蛇足ですが(細かい箇所は抜きにして)注釈を書き連ねます。
 時代背景としては平成14年~15年あたりと推測されるのですが、東都銀行と監査法人の監査現場でのやりとりの中で、貸出先を正常先から破綻懸念先など区分を変更することにより自己資本比率が4%を下回るとか・・・そんなやりとりがなされていました。
 本来、各金融機関は貸出先の資産内容等を査定し、回収に懸念がある貸出金に対し、貸倒引当てを行わなければならず(最大100%)、特に危なっかしい会社(飛鳥屋など)に貸出をしている場合、この不良債権の自己査定次第で金融機関の引当額(=費用)が増加する→剰余金が減少する→自己資本比率が下がるという構図になります。そして、ジャパン監査法人の会計士は東都銀行の自己査定の結果の引当額が不足しているので、積み増しする必要があると指摘していたのです。また、金融機関の経営の健全性を確保するために、各金融機関には上記の自己資本比率が4%以上(国内基準)であることが求められ、これを下回ると経営改善計画の提出・実行など、最悪のケースでは業務停止命令が下されるなど、金融機関にとっては重要な指標となっており、東都銀行が最後までこの指標に拘ったのはこのような経緯があるからです。以前、銀行の国有化などの言葉が紙面を飾りましたが、それと近似した状況です。
 そうすると、多分、その当時話題に上がった金融機関やそれに伴い適切な監査を行っていたのか疑問視された監査法人(フィクションではなく、ある意味事実)がモデルになっているのだなぁと推察されます。脚色されたドラマですので、現場でそんなことはしないよ(例えば、相手先会社に出向いて反面調査のごとき聞き取りをすることなど)と思う反面、過去の時代の潮流をシビアに描いているなぁと感じるところでもあります。
  


Posted by ayamizu at 17:07Comments(0)パース先生

2008年06月30日

在るVCの総会で


あるITに特化したベンチャーキャピタルが投資家と出資先のベンチャーを対象にしたセミナーを開きました。著名なIT業界のリーダーやコンサルタントから、地域&企業間格差・ネットワークコンピューティング・IT人材・教育・ガラパゴス現象等のキーワードで的確な状況分析と示唆に富んだ話が盛りたくさんありました。
その折挨拶をする機会を与えられましたので、それから引用してみました。

社会構造の変化、産業界の変革、技術革新が一気に進む中、ますますベンチャーの皆さんへの期待が高まってきているとおもいます。特にテクノロジーベースの企業の役割は重大なものがあると思います。
昨今格差是正、特に所得格差是正が声高に叫ばれています。昨年の今頃はイノベーション25も策定され、国を挙げていざ取り組もうとしていた“イノベーション”はどこかに吹っ飛んだ感があります。しかし、ベンチャーというのは周囲からちやほやされ、いつも話題の中心になっているものでもなく、黙々と愚直に毎日の努力を積み重ねるのが本来の姿です。ですからむしろ静かな環境が与えられ、いい仕事ができると思ったほうがいいのではないでしょうか。
今話題の映画に“1978年、冬”があります。
今からちょうど30年前はいろんなことがおきているのですね。とりわけ日中の交流が活発になった時期との印象があります。同じ年に私の所属するMIT エンタープライズ・フォーラムもNPO法人としてマサチューセッツ州のケンブリッジで発足、以来全米、ならびに先進国に25の支部を設立、テクノロジーをベースにグローバルに事業展開できる起業家を発掘、育てる活動を続けています。
MITではイノベーションこそが富を創出し社会を豊かにするものと信じているからです。イノベーションとはINVENTION + DEVELOPMENTと定義することもできます。発見やアイディアを基にした発明のシーズを、世の中に役立つように日々開発の努力を惜しまず継続して初めて実るものです。まさにベンチャーの人たちが日常の業務としてやっていることそのものです。
皆さん、今世界の人口は何人と思いますか?
本日6月30日の推計では、6,706,794,824人*です。
毎年7000万人以上増加し、2050年には90億人を優に超えていると考えられています。
MITのMOT(技術経営)コースの卒業生でもある、前国連事務総長のアナンさんが在任中常々言っていました:

“ 世界共通の理念と市場の力を結びつける道を探りましょう。
  民間企業の持つ創造力を結集し、
  弱い立場にある人々の願いや
  未来世代が必要とすることに応えていこうではありませんか “


綾水会に関係するベンチャーの皆さんがひとりでも多くアナンさんの呼びかけにこたえることを期待し、また投資家の皆さんには力強いご支援・ご協力を改めてお願いしたいと思います。                      

*参考資料
U.S. Census Bureau , World POPClock Projection
http://www.census.gov/ipc/www/popclockworld.html